第42章 兄ちゃんは自殺するはずがない

そう言うや否や、太田咲雪は南坂海乃の顔をもう一度見る勇気すらないのか、慌ててテラスの扉を押し開け、みっともなく宴会場へ逃げ帰っていった。

南坂海乃はその場に立ち尽くし、写真をぎゅっと握りしめる。関節が白くなるほどに。

太田咲雪の反応が、何よりの証拠だ。

――後ろ暗いものがある。

兄ちゃんの死は、あの女と無関係なはずがない。

……

宴が終わった頃には、時計はすでに夜の11時を回っていた。

ホテルの正面玄関には高級車がずらりと並び、夜気の中でヘッドライトがきらめいている。

南坂海乃は野口颯汰の上着を肩に掛けたまま回転扉を抜けた。すると、進路をふさぐように背の高い影が立ちはだかった...

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